1. 高血圧の薬について 多くの患者様は、 一度のみはじめると、一生服用することになるから嫌ですと訴えられます。これは間違いです。高血圧は大変怖い病気で、放置すれば脳出血、心不全、腎不全、 眼底出血が必発です。是非服用をおすすめします。高血圧を放置して、半身不随、透析となった多くの症例を経験してきました。高血圧を放置すると写真のような動脈の石灰化が若い方にもみられるようになります。
2. コレステロールの薬について これは迷 うところです。目安として、悪玉コレステロールが常に180mg/dlをこえている、頸動脈エコーで、血管にコレステロールが沈着している患者様は服用したほうがよいでしょう。過去に心筋梗塞や脳梗塞をされた方は、服用すべきです。頸動脈に粥腫(プラーク、コレステロールの固まり)が沈着している写真です。プラークがある患者様には、薬の服用をすすめています。
3. 糖尿病の内服薬について 私見をまじえてお話しさせていただきます。
医薬品の適正な使用を心掛けています。2017年以降、製薬会社から謝礼、飲食の接待などの利益供与を受けていません。安全で最適な薬物を選択するよう心がけています。
(グルコバイ)(ベイスン)(セイブル)があります。糖の吸収を遅らせ、食後の高血糖を抑制します。おならがよくでるようになりますが、HbA1cを1%くらい下げます。低血糖をおこすことなく安全な薬です。1例だけ重篤な肝機能障害がありました。
効果のある人とない人、50%-50%の印象です。また長期投与する場合、膀胱癌のリスクがあがることが懸念されています。添付文書には、海外で実施した糖尿病患者を対象とした疫学研究において、本剤を投与された患者様で膀胱癌の発生リスクが増加するおそれがあり、また、投与期間が長くなるとリスクが増える傾向が認められているので、投与開始に先立ち、患者様又はその家族に膀胱癌発症のリスクを十分に説明してから投与することとあります。また、女性において骨折の発現頻度上昇が認められていることも懸念材料です。
ファスティック、スターシス、グルファスト、シュアポスト
15分程度のインスリン分泌作用しかなく、意識を失うような低血糖はおこしません。大きな副作用もなく、良い薬だと思います。
欧米では第一選択薬として使われます。低血糖をおこすことなく、血糖値を改善させます。注意すべき副作用は乳酸アシドーシスです。75歳以上の高齢者や腎不全のあるかたは中止すべきです。私の経験ですが、一人の患者様が乳酸アシドーシスで亡くなられました。
グラクティブ、ジャヌビア テネリア スイニー エクア オングリザ ネシーナ トラゼンタ
低血糖を起こすことなく、また大きな副作用もないようです。良い薬だと思います。
1例だけ重篤な肝機能障害がありました。
昔から使われている、インスリンを刺激して血糖値を下げる薬です。低血糖で意識をなくす可能性がある薬です。この薬のために、低血糖昏睡で意識を戻すことなく、亡くなるかたが大勢みえました。とくにオイグルコン、ダオニールに多くみられ、八事日赤では採用を中止としました。原則として70歳以上の患者様には投与しない方針です。若い方でも、作用の弱いグリミクロンなら2-3錠、アマリールなら2錠以上は使用しないほうがよいと思います。
(ビクトーザ)(バイエッタ)(リキスミア)
発売当初はかなり期待しましたが、HbA1cを1%程度しか下げないようです。利点はインスリンと違って、体重増加が少ないこと、低血糖をおこさないことです。最近、GLP-1受容体作動薬を週に1回注射する製剤が発売されました。薬自体はよさそうですが、注射針が太いです。先行のビデュリオンは23G(採血するのと同じ針、とても自分で注射するきになれず、患者様にもすすめられませんでした)。次に発売された、トルリシティは29Gと細く、自分でも注射してみましたが、痛くありませんでした。血糖コントロールに難渋する患者様に使ってみる価値がありそうです。
確実に血糖値を下げることができます。ただし低血糖と体重増加が懸念されます。低血糖は、できるだけ避けなくてはいけません。