かきや内科 糖尿病・甲状腺クリニック

名古屋の糖尿病、甲状腺治療のかきや内科専門クリニック

〒464-0834 愛知県名古屋市千種区日岡町2-52
TEL 052-757-3456

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甲状腺について

甲状腺は、喉ぼとけの下で気管の前にあり、血液中にホルモンを分泌して、代謝を正常に保つ役割を持っています。
甲状腺の病気は、あまり知られていないため、発見しにくい病気です。
以下のような症状があれば、甲状腺疾患の可能性があります。ご相談ください。


正常な甲状腺のエコー画像です。

甲状腺のエコー
甲状腺のエコー

 

〚バセドウ病〛

心臓がドキドキする 手指が細かくふるえる 体が熱くなる 汗を異常にかくようになった 急にやせた イライラする

バセドウ病の患者さんです。
甲状腺はびまん性に腫大し、甲状腺実質の血流が増加することを反映して豊富な血流信号を認めました。

バセドウ病のエコー
バセドウ病のエコー

 

〚橋本病〛

皮膚が乾燥しやすい 寒がりになった だるい 顔や手がむくむ 声がかすれる

甲状腺は腫大し、表面が凹凸を示します。
内部エコーは粗造で不均一でした。

橋本病
橋本病

 

〚亜急性甲状腺炎〛

頸部の痛みや発熱を訴え、甲状腺が硬くはれ、その部位に痛みを訴えます。
甲状腺中毒症(手のふるえ、動悸、息切れ、頻脈)を示します。
エコーでは、輪郭が不明瞭な低エコー像を呈します。

亜急性甲状腺炎
亜急性甲状腺炎

 

〚甲状腺腫瘍〛

甲状腺に腫瘍のできる病気には、良性のものと悪性のものがあります。良性腫瘍には、濾胞腺腫と甲状腺全体に結節ができる腺腫様甲状腺腫があります。悪性腫瘍の主なものには、おとなしい癌(分化癌)である乳頭癌と濾胞癌があります。80~85%は乳頭癌、あとの約10%は濾胞癌です。乳頭癌の診断には穿刺吸引細胞診が有用です。濾胞腺腫と濾胞癌の鑑別は、細胞診だけでは困難で、手術で腫瘍を摘出し、細かく顕微鏡でみなければ診断できません。ただし、エコーの所見で、腫瘍が外側の被膜に浸潤している、腫瘍が硬い、腫瘍の可動性が悪い、腫瘍の大きさが4cm以上、経過観察中に徐々に大きくなるなどの特徴がある場合は悪性の可能性があり、手術を進めさせていただきます。
穿刺吸引細胞診とは、採血に使う細い針を甲状腺に刺して注射器で細胞をとるものです。外来で出来る検査であり、頚部腫瘤が悪性かどうかの診断をつけるために行います。個人差はありますが痛みは軽度のため局所麻酔は行いません。
当院では診察時に、甲状腺エコーで細胞診の必要があるかを判断します。
明らかに良性と診断できる、あるいは腫瘍の大きさが1cm以下(小さい場合、細胞が十分にとれないことが多い)の場合は経過観察が妥当とされています。
エコーの写真は患者様にお渡ししています。

甲状腺エコー エコーガイド下穿刺細胞吸引診
甲状腺エコーガイド下穿刺吸引細胞診
甲状腺エコーガイド下穿刺吸引細胞診

左の甲状腺腫瘍で来院されました。

エコーガイド下で細胞診を施行。
エコーで白く写っている部分が針先です。

濾胞腺腫
腫瘍の境界は鮮明で、内部にのう胞変性を認める。腫瘍内部の血流も乏しく、細胞診で良性と診断されました。

濾胞腺腫
濾胞腺腫

 

腺腫様甲状腺腫
両葉に過形成と思われる結節を多数認め、細胞診で良性の結果でした。

腺腫様甲状腺腫
腺腫様甲状腺腫

 

甲状腺乳頭癌
腫瘤内部に微細な石灰化が複数見られ、周囲組織への浸潤を認めました。
細胞診で乳頭癌と診断されました。

甲状腺乳頭癌


甲状腺乳頭癌は頚部リンパ節への転移が多くみられます。
内頸静脈に転移したリンパ節が浸潤していました。PET-CTで同部位に取り込みが認められ、腫瘍切除が予定されました。

甲状腺乳頭癌
甲状腺乳頭癌
甲状腺乳頭癌
甲状腺乳頭癌


胸部CTで甲状腺の石灰化を指摘され紹介。甲状腺峡部に6.9×5.4mmの結節を認めました。内部エコーは不均一で、微細な石灰化を認め、悪性を疑い、細胞診をすすめました。この患者様の腫瘍は気管に接しており、出血による血腫形成や気道閉塞のリスクもあり、体制の整った名古屋第二赤十字病院に紹介させていただきました。細胞診の結果は甲状腺乳頭癌でした。

甲状腺乳頭癌
甲状腺乳頭癌

 

〚小児の甲状腺について〛

甲状腺ホルモンの正常値は20歳から60 歳くらいまでの成人から作られているものが多く、4歳から15歳くらいまでの小児では、FT3、TSHが成人健常人よりも少し高くなります(Iwaku K (2013) Endocr J : 60 799-804)。バセドウ病や不適切TSH分泌症候群では、びまん性の甲状腺腫大を認めることが多いので、血液検査で異常を指摘された場合、エコー検査やホルモンの検査方法を変えて再検することが勧められます。
症例1は6歳の女の子、食思不振で他院に受診し、Free T3 5.04 (2.30~4.30 pg/mL)と甲状腺ホルモンの高値を指摘されました。症例2は9歳の女の子で、Free T3 4.23 (2.3~4.0 pg/mL)と異常を指摘され、受診されました。甲状腺エコーではともに問題なく、甲状腺機能亢進症の臨床所見もないので、経過観察が妥当と考えています。

小児の甲状腺 症例1 6歳
小児の甲状腺 症例2 9歳

症例1 6歳

症例2 9歳

 

〚甲状腺の病気について〛

甲状腺の病気の詳細については、日本甲状腺学会のホームページをご覧ください。
今までの診療経験をふまえ、甲状腺疾患についての私見を述べさせていただきます。

バセドウ病は完治するのが難しく、薬を何年も(一生服用しなければいけない患者様もみえます)服用する必要があります。薬をやめると再発する方も多く、少量でも継続したほうが良さそうです。何度も再発を繰り返し、心機能が低下し、亡くなられた患者様もみえました。手術は、最も早く確実に治療効果が得られますが、合併症もあり、最後の手段と考えています。放射性ヨウ素内用療法は、安全な治療法で、難治性のバセドウ病の患者様には、ぜひ検討していただきたいと考えています。

甲状腺の病気は若い女性に多いため、妊娠中の管理が必要となります。バセドウ病はチアマゾール(MMI)を第1選択薬とします。副作用が少なく、効果が良いためです。しかし妊娠初期には、MMIによる奇形の報告があり、効果が劣り、肝機能障害や血管炎などの重篤な副作用の報告がある、プロピルチオウラシル(PTU)を第1選択薬とします。薬を服用しながらの妊娠となりますが、今まで、大きな問題はありませんでした。
軽度の甲状腺機能低下症あるいは甲状腺機能が正常であっても、橋本病の自己抗体が陽性であるだけで、流早産率、不妊症の原因になるとする報告があります。甲状腺ホルモンを服用することにより流早産率の低下、また不妊症の治療にも役立つ可能性があります。安全な薬ですので、不妊症に悩まれている患者さまには、試してみる価値があると思います。甲状腺刺激ホルモン(TSH)が2.5µU/ml以下になるように、T4製剤(チラーヂンS®、レボチロキシン®)の内服を調整します。TSHを4週後に2.5µU/ml以下にするために、TSHが2.5-4.5µU/mlならチラーヂンSを50μg、4.5-10µU/mlなら75μg、TSHが10µU/ml以上なら100μg服用します。妊娠中は25週までは1月に1回採血し、薬の量を調節しますが、25週以後補充量は変わらなくなります。
妊娠前からチラージンを服用されている場合、妊娠が判明した時点で速やかにチラージンの補充量を30%増量します。

甲状腺癌については治療方針がまだ定まっていません。たとえ癌であっても1cm以下の小さな腫瘍は手術をしないで、経過をみることも提唱されています。1cm以下の場合は、細胞が十分に採取できないことが多いため、アメリカ甲状腺学会の指針では、検査すら行いません。ただし、エコーで気管や周囲の組織に浸潤が疑われる場合、検査をすすめることがあります。
濾胞性腫瘍は細胞診では診断がつきません。手術でとった腫瘍を、顕微鏡でみて、はじめて癌か良性かの区別がつきます。徐々に増大する場合や、エコーで悪性を疑う所見がある場合に手術をすすめています。

 

〚原発性副甲状腺機能亢進症〛

副甲状腺は、甲状腺の裏にある米粒くらいの臓器で、副甲状腺ホルモンをつくり、骨に蓄えられているカルシウムを溶かしだし、血液のカルシウム濃度を調節しています。副甲状腺に腫瘍ができると、副甲状腺ホルモンを過剰に分泌し、血液中のカルシウム濃度を必要以上に高くするために、さまざまな症状を引き起こします。骨が溶けることにより、骨折しやすくなります。尿中に過剰のカルシウムが排泄されるために、尿路結石をおこします。また高カルシウム血症により、吐き気や食欲低下などの消化器症状、精神的にイライラし、疲れやすいなどの症状がでます。検診で高カルシウム血症が偶然発見されることも多くなりました。

このかたは偶然見つかった副甲状腺腺腫です。一見、甲状腺のう胞にみえますが、甲状腺の裏側にあり、手術をしていただきました。

原発性副甲状腺機能亢進症
原発性副甲状腺機能亢進症

 

〚脂質異常症〛

頚動脈エコー検査
頸動脈エコーは、簡便で視覚的に動脈硬化の診断が出来る検査です。
全身の動脈硬化の程度が評価できます。
1mmを超える限局性の壁隆起をプラークと呼び、プラークの破綻が脳梗塞などを引き起こす可能性がありとされています。
コレステロールの薬を服用する必要性があるかを判定するのに良い指標です。

頸動脈エコー
頚動脈エコー
頚動脈エコー

右の頸動脈に石灰化(動脈硬化)を認めます。

高コレステロール血症のため、
左の頸動脈の血管壁の厚みが増しています。